漫画
新聞の日曜附録の一ページに大掃除を題材にした漫画がいろいろ出ている中に岡本一平氏のがある。おかっぱ洋装の孫娘がお祖母さんとバタ入れとにほこりがかからないようにと大きな鶏籠のようなものをすっぽりかぶせておいたのをおかあさんが見つけて驚いて籠を引き起こしている図である。おばあさんはおとなしくバタ入れといっしょに小さくなって籠の下に収まって何かむしゃむしゃ食べている。孫娘のほうは平気にほがらかにあちらを向いてはたきをふるっているのである。
ほかにも数々の漫画があるが、どうもただ表面だけふざけていて中味の何もないのが多いようである。一平氏のには、多くの場合にそうであるように、おかしみの底に人情味が流れていて噛みしめるとあわれがにじみ出す。この漫画なども、現代の家庭における老祖母と主婦と孫娘との三角関係を心理的に描写し尽くして余すところがないような気がする。その真実性の中からおかしみも美しさもあわれも生まれてくるのであろう。
ただ一枚の漫画でもこういうのを朝食時に見ると、その日一日ぐらいは自分の心情の上に何かしらよい効果を残すように思われる。